●技術士二次試験はどんな試験なのか?
●受験資格はどのように定められているのか?
本記事では、技術士取得者の私が解説します。
技術士二次試験 試験実施部門
僕の専門分野でも受けられるのかな?
何らか関係のある部門があるはずだよ!
技術士試験は、文部科学省令で定める技術部門ごとに実施されます。
技術部門は各専門20部門+総合技術監理部門の計21部門があります。
試験実施部門一覧表
機械部門 | 船舶・海洋部門 | 航空・宇宙部門 | 電気電子部門 |
化学部門 | 繊維部門 | 金属部門 | 資源工学部門 |
建設部門 | 上下水道部門 | 衛生工学部門 | 農業部門 |
森林部門 | 水産部門 | 経営工学部門 | 情報工学部門 |
応用理学部門 | 生物工学部門 | 環境部門 | 原子力・放射線部門 |
総合技術監理部門 |
(社)日本技術士会HPより
技術士二次試験 試験日程
ところで技術士二次試験はいつ行われるの?
例年、技術士二次試験は以下の年間スケジュールで行われます。
受験申込の受付 | 4月中旬~4月下旬 |
---|---|
筆記試験 | 7月中旬頃 |
筆記試験合格発表 | 10月下旬 |
口頭試験 (筆記試験合格者のみ) |
11月下旬~翌年1月 |
口頭試験合格発表 | 翌年3月上旬 |
(社)日本技術士会HPより
建設業界など、ほとんどの職種は1~3月の年度末が繁忙期です。
繁忙期明けすぐに受験申込書を提出し、約3ヶ月後には筆記試験が行われるため、
早めに勉強の計画を立てる必要があります。
さらに、筆記試験合格者は年末~年初に行われる口頭試験に臨みます。
口頭試験の合格発表は翌年の3月上旬です。
受験申込から最終合格発表まで、約1年かけて行う長丁場の試験となります。
試験対策をはじめる時期について紹介しているのでご参考にしてください。
〇 受験申込書提出は年度明けすぐ
〇 筆記試験は7月中旬(3連休最終日の場合が多い)
〇 受験申込~口頭試験合格発表まで約1年間かかる長丁場の試験
技術士二次試験 試験内容
3.1 筆記試験
(1)出題内容
総合技術監理部門以外は択一式なしで全て論文形式
なのが試験の大きな特徴だね。
・総合技術監理部門以外の部門
①必須科目
「Ⅰ必須科目」は、技術部門全般にわたる専門知識、応用能力、
問題解決能力及び課題遂行能力が問われます。
解答時間は2時間で、1,800字(600字詰×3枚)以内の記述式です。
②選択科目
「Ⅱ選択科目」は、選択科目についての専門知識及び応用能力が問われます。
「Ⅲ選択科目」は、選択科目についての問題解決能力及び課題遂行能力が問われます。
「Ⅱ選択科目」と「Ⅲ選択科目」合わせて解答時間は3時間半です。
「Ⅱ選択科目」が1,200字(600字詰×2枚)以内、
「Ⅲ選択科目」が1,800字(600字詰×3枚)以内の記述式となっています。
実際に論文を書き始めると分かりますが、1800字詰めの原稿用紙を2時間で埋めるには
相当早いスピードで論文を書く必要があります。
問われている能力に対する応えを即座に表現する、
これはすぐに身につけられることではないので、事前に対策が必要となります。
・総合技術監理部門
総合技術監理部門は択一式と記述式の試験方法があります。
解答時間は択一式が2時間で、記述式が3時間半です。
既に総合技術監理部門以外のいずれかの技術部門の技術士であれば、
「Ⅰ必須科目」の試験だけが受験科目として該当します。
〇 試験は「必須科目(技術部門全般)」と「選択科目」に分かれる
〇 総合技術監理部門以外は、論文形式の試験方法
〇 解答時間は計5時間半で、600字詰めの原稿用紙8枚分の記述が必要
(2)配点と合格基準
どれくらいの点数を取ると合格できるの?
60%以上の点数が必要だよ。
・総合技術監理部門以外の部門
配点は「Ⅰ必須科目」が40点満点、「Ⅱ選択科目」「Ⅲ選択科目」が
各30点満点の計60点満点となっています。
「Ⅰ必須科目」と「Ⅱ選択科目とⅢ選択科目の合算」の
各々で60%以上の点数が合格の目安となります。
試験結果通知にはA(60%以上)、B(40%~60%)、C(40%以下)の
3種類で結果を記載しています。
・総合技術監理部門
総合技術監理部門は、「択一式」「記述式」の各々が50点満点で、
60%以上の点数が合格の目安となります。
〇 「必須科目」と「選択科目」の両方で60%以上の点数が必要
〇 試験結果は、A・B・Cの3段階評価で通知される
3.2 口頭試験
(1)出題内容
口頭試験に落ちたら、また筆記試験から受けることになるから覚悟してね!!
口頭試験は、技術士としての実務能力および適格性が問われる試験です。
試問時間は20分、あなたが本当に技術士としての素質があるのか確認されます。
技術士二次試験の大きな特徴の1つは、口頭試験の不合格者は、
筆記試験から受験し直さないといけないことです。
なぜ、また筆記試験から受験しないといけないのか?
その答えを導き出すには、「技術士のコンピテンシー」を紐解く必要があります。
〇 口頭試験では技術士としての「実務能力」と「適格性」が問われる
〇 試験時間は20分
〇 口頭試験に落ちた受験者は、筆記試験からまた受験しないといけない
(2)配点と合格基準
口頭試験では、技術士としてのコンピテンシーが問われます。
配点は「Ⅰ技術士としての実務能力」が計60点満点、
「Ⅱ技術士としての適格性」が計40点満点です。
全ての評価項目で60%以上の点数を獲得しなければ、合格が認められませんので、
万遍なく対策が必要です。
〇 口頭試験では各評価項目全てで60%以上の点数が必要
技術士二次試験 受験資格
それで、技術士試験は誰でも受けられるの?
基本的には技術士補になってから、少なくとも
4年間の実務経験が必要だね。
仕組みになっているんだ。
大卒で入社時に修得技術者の場合は、指導技術士の下での実務経験が4年必要になるため、
入社5年目以降に第二次試験を受けられます。
院卒で入社時に修得技術者の場合は、
大学院で研究に従事した期間も実務経験に含まれます。
そのため、大学院研究2年+指導技術士の下での実務経験2年で要件を満たし、
入社3年目以降に第二次試験を受けられます。
指導技術士や監督者がいない場合でも7年間の実務経験があれば
受験資格を得ることができます。
修得技術者になるためには、「指定された教育課程を修了」するか「第一次試験に合格」
するかの2つの方法があります。
指定された教育課程にはJABEE認定があります。
大学の学部学科がJABEE認定を受けていたら、
入社後すぐに技術士補に登録することができます。
●JABEE認定とは?
一般社団法人日本技術者教育認定機構(JABEE)は、技術者を育成する教育プログラムを「技術者に必要な知識と能力」「社会の要求水準」などの観点から審査し、認定する非政府組織です。認定プログラムの修了生は、国家資格である技術士の第一次試験が免除されます。
(一般社団法人 日本技術者教育認定機構HPより)
〇 第二次試験を受けるためには修得技術者(指定の教育課程を修了 または
第一次試験合格)になる必要がある
〇 修得技術者になってから指導技術士または監督者のもと、
4年間の実務経験が必要である
〇 大学院で研究に従事した期間も実務経験に含まれる