●技術士試験の受験部門・専門分野はどのように選べばよいか?
●「業務経歴」のポイントは何か?
●「業務内容の詳細」のポイントは何か?
本記事では、技術士取得者の私が、経験をもとに解説します。
そんなのすぐつくれるから心配していないよ。
早めに準備したほうがいいよ。
会社の先輩に作成してもらう書類もあるんだね。
予備資料にもなる大切な書類だよ。
受験申込書作成の時点で試験は
はじまっていると考えよう。
「受験申込票の作成」これが受験者に訪れる第一関門です。
申込書には技術士補資格証や指導者の経歴書など各種証明書が必要となります。
特にはじめて受験される方は想像以上に時間をとられるので
余裕を持って準備しましょう。
部門・専門分野の選択
技術士は「科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての
計画、研究、設計、 分析、試験、評価またはこれらに関する指導の業務を行う者」です。
つまり受験する部門・専門分野を選択するときは、
技術士としてふさわしい業務を経験している必要があります。
受験申込書に書くべき業務経験は「4.業務内容の詳細」で解説します。
受験する専門分野が明確ではない方は、
今までに自らが取り組んだ業務を棚卸ししましょう。
業務経験を整理することで、どの専門分野に対してこれまで
専門的応用能力を発揮してきたのか明確になります。
受験資格
技術士二次試験は誰でも受けることができる資格試験ではありません。
一定の受験資格要件が必要となり、そのパターンも複数あり複雑です。
「自らが受験資格要件を満たしているか?」
「どのパターンで受験資格要件を満たしているか?」
は事前に確認しておきましょう。
↓受験資格要件はこちらの記事で紹介しています。
業務経歴
受験申込書の「業務経歴」欄には、今までに携わった業務を
最大5つ記載することができます。
受験資格を得てから間もない人は、業務経歴の通算期間が
受験資格要件を満たすように記載する必要があります。
業務経歴に記載する業務名称は、受験する部門・専門分野と合致しているか
試験官が一目みて分かるように書くのが望ましいです。
どのような業務内容か一見して判断がつかない業務があると、
受験者が専門分野の経験を十分に有しているか簡単には分かりません。
業務経歴表の内容は口頭試験で質問される
口頭試験は短い時間の中で、技術士としての資質があることを
多様な面からアピールしていかなければなりません。
そのため、受験申込書の内容は質問されなくても試験官が理解している状態が理想的です。
試験官の立場になり、書面上での分かりやすさも意識しつつ、
業務名称を記載することをおすすめします。
また業務経歴に記載した業務の一部は、
口頭試験において詳細を質問される可能性があります。
漫然と業務を選ぶのではなく、自らが技術士としての資質能力(コンピテンシー)を
発揮し、口頭試験の場で自信を持ってアピールできる業務を記載しましょう。
■ 技術士としての資質能力(コンピテンシー)
・専門的学識 ・問題解決 ・マネジメント ・評価
・コミュニケーション ・リーダーシップ
業務内容の詳細
さて、「1. 部門・専門分野の選択」において、
技術士としてふさわしい業務を経験している必要性について述べました。
受験申込書には「業務経歴」欄に記載した5つの業務のうち、1つを選び「当該業務での
立場、役割、成果等」を720字以内で記述する「業務内容の詳細」欄があります。
技術士としてふさわしい業務を5つ記載し、
その中でも選りすぐりの1業務について、この欄で詳細を記述していきます。
では技術士としてふさわしい業務とは何か?
技術士としてふさわしい業務
ここで重要なことは業務そのものの規模や難易度ではなく、「業務遂行にあたって直面した問題に対して、あなた自身が、どのようなプロセスで問題解決を行ったか」です。
口頭試験では技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)が問われますが、
このうち、業務内容の詳細では特に問題解決能力を示しておく必要があります。
口頭試験では、業務経歴表に記載した業務内容の詳細をベースに試問を行い、
その過程の中で問題解決能力の素養について確認が行われます。
口頭試験で合格点に到達するためにも、あなたが携わった業務において
問題解決した具体的内容を記述しましょう。
平易な業務であっても、業務を行うなかでつまずいたことや
うまくいかない場面が何かしらあったと思います。
その問題に直面したときに、主体的な立場で論理的に問題分析、
解決方法の提案を行った業務を選ぶことで口頭試験の場において説得力が増します。
また試験とはいえども、結局は人と人のやりとりになるので、文章の内容は
当然ながら試験官がイメージしやすく分かりやすい表現をすることも大切になります。
受験申込書の添削
以上、受験申込書の書き方や意識した方がいいポイントについて解説しました。
繰り返しとなりますが、「業務経歴」と「業務内容の詳細」は
口頭試験に用いられる重要な情報となります。
形式上の事務処理ではなく、受験申込書の作成からすでに採点が
はじまっていると考え、入念な準備をすることをおすすめします。
また業務内容の詳細については、先輩社員に添削してもらいましょう。
さらに欲を言えば、「その業務に携わった人」と「業務を全く知らない人」の
両者に添削をお願いするのが理想的です。
前者の方であれば、あなたが選んだ業務上の課題や解決法が
技術士としてふさわしいものかを見てくれるはずです。
後者の方は、その業務を全く知らない、すなわち試験官と同じ状況にあると言えます。
その方が読んでスッと頭に入る文章になっていて、かつ問題解決能力を発揮したことが
分かるものであれば、伝わる文章が書けていることになります。
〇 自らの業務経験を活かせる「部門・専門分野」を選択する
〇業務経歴は、技術士としての資質能力を発揮した業務を選ぶ
〇業務内容の詳細は、業務経歴の中でもとりわけ、
主体的に問題分析・問題解決を行った業務を選ぶ