●青本の代わりとなる書籍を知りたい。
●技術士として求められる分野横断的な知識を知りたい。
本記事では、総監技術士の私が解説します。
本書は僕にとって、まさに技術士のバイブルでもあるんだ!
青本の後継者「技術士ハンドブック」
総合技術監理部門のバイブルといえば、ひと昔前は青本と言われていました。
※青本(通称)=「技術士制度における総合技術監理部門の技術体系」
しかし青本は2004年に第二版が刊行されて以来、
改定されず2017年には絶版となりました。
では青本を引き継ぐ書籍はあるのか?
その答えとして、私は「技術士ハンドブック」が
後継者にふさわしいと思っています。
技術士ハンドブックは日本技術士会お墨付きの組織である技術図書刊行会によって
2006年に第1版が刊行されました。
各界一流の技術士が編纂に携わっており、1000ページを超える大著となっています。
また2014年には国内外の最新の動向を踏まえ、改定第2版を発刊しています。
残念ながら青本と同様、現在は絶版となっているようですが、
Amazon等で中古品を購入することは可能です。
2014年刊行では既に廃れた情報で使えないのでは?
と思うかもしれません。
しかしながら、マネジメント手法(例えば、リスクマネジメント、経営/生産マネジメント等)の多くは古典的に体系化されており、考え方の根底は現代でも通用するものです。
私自身も総監試験対策の参考書として本書を活用しました。
また本書は単なる試験対策にとどまらず、技術士として仕事をしていくうえで
一生もののバイブルに値することが、青本やその他参考書との大きな違いになります。
「技術士ハンドブック」の構成と内容
本書は各技術部門の個別の技術分野を対象としたものではなく、
「技術部門間で共通的に必要な知識は何か」という観点でつくられています。
すなわち、総監技術士として必要な知識を網羅的にまとめたものとなっています。
[技術士ハンドブック目次構成]
①技術に関わる共有知識として
あらゆるエンジニアが共通にもつべき知識を「安全第一、環境第二、
品質第三、利益第四」の思想をもとに章を配列している。
第1章 安全工学
第2章 環境
第3章 エネルギー
②技術に関わる実践知識として
技術士として活動するための実践知識を定めている。
第4章 経営/生産マネジメント
第5章 品質マネジメント
第6章 建設マネジメント
第7章 情報マネジメント
第8章 プロジェクトマネジメント
第9章 リスクマネジメント
②技術士としての必須知識として
技術士のアイデンティティを示す指標知識として定めている。
第10章 倫理
第11章 問題解決
第12章 人材育成
「技術士ハンドブック」の特長
私は総監試験対策にあたり本書をAmazonで購入しました。
実際に活用して感じた特長3つを紹介します。
①総監キーワードの参考書として使える
毎年改定される「総監キーワード集」ですが、青本が発刊されて以来、
変わらないキーワードもあります。
また古くからあるキーワードほど時代の変遷を超えて残っているだけあり、
重要かつ本質的な知識であると言えます。
そのような総監技術士として、幹を成すキーワードを学ぶことに本書は適しています。
②分野横断的に知識を体系化
専門分野を問わず技術士に求められる基準やベースとなる知識を、
横断的に把握できる内容となっています。
1000ページを超えるとなると難解な専門書のように感じられるかもしれませんが、様々な技術者が手軽に参照できるように、図表も多く取り入れ分かりやすい内容となっています。
③技術士としての必須知識は特に充実
私が本書を「買ってよかった」と思ったのは、
「倫理、問題解決、人材育成」を読むことが出来たことです。
人材育成では、技術士としてのキャリア形成や専門分野ごとの能力開発が示されており、「技術士としてどのように成長すればよいのか?」思考を深めるのに役立ちました。
本書で挙げられているトピックスの一例を紹介します。
・技術者倫理に基づく「良い仕事」とは?
・さらなる「良い仕事」とは何か?
・問題解決と技術者能力との関係は?
・技術者教育とキャリア形成
・〇〇系技術者の人材育成
(機械系、電気系、材料系、建設系、情報系、自然環境系、原子力系)
「技術士ハンドブック」のデメリット
本書の唯一のデメリットは絶版になっていることから、
市場への供給量が圧倒的に少なく高価となっていることです。
(中古品の状態にもよりますが、1万~3万円程度の価格です。)
私もAmazonで中古品を2万円程度で買いましたが、
ほぼ新品の状態で品質には満足しています。
購入にはハードルがありましたが、「総監に絶対受かる!」
「他の技術士より1歩リードする!」という意気込みのもと、購入を決心しました。
費用対効果は買った瞬間に確定するものではなく、
買った後にどのように行動するかで変わるものだと思います。
自らへの投資だと捉えて、購入を検討してみるとよいかもしれません。
また内容としても一流技術士の知が結集されており、これから技術士として
仕事を続けていくのであれば、高価であっても買うに値するものであると思います。
まとめ
●「技術士ハンドブック 第2版」は総監キーワード対策として使用可能
(知識を手軽に参照でき、図解も豊富で分かりやすい)
●技術部門間で共通的に必要な知識を網羅的に整理
(1000ページを超える大著)
●技術士としてのキャリア形成や能力開発に役立つ
(技術士のバイブルとも言うべき本)